東京地方裁判所 昭和40年(レ)330号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕そして訴訟代理人が訴訟上の和解の特別委任を受けてこれをなす場合にも、訴訟物たる権利関係について紛争を解決する互譲の方法として、訴訟物となつていない権利関係をも加えて和解を成立させる必要がある場合には、訴訟手続上はあらためて当事者の特別の委任がなくては訴訟以外の部分を含めて訴訟上の和解をする訴訟法上の代理権限がないものと速断すべきではない。けだし、訴訟上の和解が前述のように他の権利関係の処分をもともないうるものであつて、また実務上かかる互譲の方法が事案の妥当な解決としてしばしば行なわれていることに徴するときは、和解につき特別委任を受けた訴訟代理人は和解手続の追行上予想される必要な一切の訴訟行為をなす一般的実型的権能として関連あるいは附随の事項について委任者にとつて予期しない不利益を及ぼすことのないときは、通常の特別委任の範囲に属するものとして、訴訟手続上は訴訟物となつていない権利関係をも互譲の方法に供する権能をもつており、右権限は当事者本人と訴訟代理人との間の意思によつてこれを制限しても対外的にはその効力がないことになつている(民事訴訟法第八一条第三項)からである。(石原辰次郎 長利正己 鬼頭季郎)